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「あんたたち。いい雰囲気になったわねぇ。 まあ。そうよね。もうずっと一緒に居るんだし。。」 茂さんはそう言って カウンターに肘をつくと はあ。と小さくため息をついた。 「私たちみたいなのはね。なかなか難しいのよ。 ずっと誰かと一緒にいるなんて 出来ないって思い込んでる人も多いし まぁ。実際にそうだからねぇ・・・。」 でも。と言ってニコッと微笑む。 「一生一緒にいるって決めたんでしょ。 そんな覚悟が見えるもの。あんた達は大丈夫。 お互いがこの人しか居ないって思える。 素敵よねぇ~。だからこそ 何事にも 誠実であれ。ってね。」 何事にも誠実に。 確かにな。 仕事もそうだけど 人間関係何よりもそれが大事。。 黙り込む俺たちを交互に見て茂さんは一人頷くと 「だから 涼ちゃん。体は大事よ。 ゲイの行き先なんて孤独死って 決まってるようなもんなんだから 大事なパートナーを一人にしない為にも 今から体調管理はしておかないと。 いつまでも若くはいられないのよねぇ~。」 どこか哀しく響くその口調に何か含みが感じられ 思わず新と顔を見合わせた。 ・・やっぱりなんかあったのかな。 新もそう思ったのか 遂に質問を口にする。 「茂さん。スギさんどうしたの?今日。」 敢えて明るい口調でそう聞くと 茂さんは 慌てたように ああ。と姿勢を正した。 「やだ。あんたたち。心配しちゃってた? 何でもないわよぉ。ちょっとね 仕事が かなり忙しいとかで最近家を空けてる事が多くてね。 ああ。でも大丈夫。問題無いわよ。」 ひらひらと手を振り 俺と新を交互に見て 唇を尖らせる。 「何よぉ!大丈夫だってば。 今の時期 忙しい業種なのよ。 会社に泊まり込みが続いたりしてね。 今までもそうだったし 何も心配いらないわ。 ほらほら。唐揚げ冷めちゃうわよ。」 そう言って茂さんは唐揚げを掴むと 俺の口へ無理矢理グイッと放り込み アチッ!と俺は飛び上がった。

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