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「叶さん。教えてくださいよ~。」
木崎が纏わりつく様に絡んでくる。
無視して喫茶店に入り コーヒーを注文。
木崎もついてきて正面に座りコーヒーを急いで頼むと
また同じ話を繰り返した。
あー。めんどくさい。
「なんだよ。知らないよ。なんで俺が知ってんの?
気になるんだったら本人に聞けばいいだろ。
っつーか。いいのか。お前彼女居たんじゃ
なかったっけ? ほら。同期の・・。」
木崎の同期の中ではかなり派手だけど可愛いと
評判の子で。アイツうまくやったよなって
やっかみ半分噂されてるのは聞いた事がある。
木崎はわざとらしいくらい肩を落とした。
「・・最近うまくいってないんすよ。
もうダメなんじゃないかなぁ・・。」
へえ。そうなんだ。
そりゃ三沢が歓喜しそうだな・・。
なんで木崎にあんな可愛い彼女が居て
自分には居ないって酒飲むとぐちぐち言ってるし。。
まあ。一切興味ないけど。
「で? ハッキリダメになった訳でもねえのに
もう他の女って? 木崎くんも随分ですねぇ。」
呆れたようにそう言うと 木崎はぶんぶん
首を振った。
「ち・・違いますって! この間 俺
やっちゃったじゃないですか。期限だったの
すっかり忘れてて なのに休み取っちゃって・・。」
あー。あれね。
三沢に感化されたのか最近木崎も仕事頑張ってて。
うちの会社は社内コンペが年に数回行われる。
今回は会社の製品を使ってのレシピコンテスト。
自社製品やグループ会社の製品への理解度を
図る目的で 若い奴らはこのコンペで賞を取れば
出世への近道だ!とみんな勢い込んでいた。
まあ。俺はどうでもいいんですけどね。
で。料理が一切ダメな木崎はうちのチームの
女子社員の堀田亜美に協力を仰いでいて。
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