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あー。
成程。
鋭いですねぇ・・・。
まあ。彼女ではないですが。
という訳で。
それからバレンタインには堀田からチョコを貰い
うちに持ち帰って 新と一緒に食って感想を聞いて
それをメールで送ってやるってのを
ここ数年繰り返していまして。
でも それは俺たちしか知らない事で
俺がなんで堀田に彼氏がいるかどうか
知ってるって思うんですか。木崎さん。
っつーか それとこれ。
全く関係ないでしょうが。
木崎はそんな俺の心境を完全無視で
必死に説明を始める。
「ギリギリまで悩んでて 家に持ち帰ってて。
ここんとこ忙しかったじゃないですか。
そんで期限すっかり忘れちゃってて・・・
堀田ちゃんが気づいて連絡くれたんすよ。
あの子すげえ気が利くんですよね。
たまたまノーパソ持ってたんで
メールで書類送って代わりに出してくれたんです。
それまでも色々手伝って貰ったしお礼がしたいなって
思って 食事どう?って聞いたら・・。」
「スパンと断られたって話か。」
木崎はガックリと項垂れた。
顔を上げると何故かじろっと睨まれる。
「叶さん。」
「ん?」
もう面倒になり 気にもせずに携帯へと
目を向けると 腕をぐいっと掴まれた。
「な・・なんだよ。」
「ホントは堀田ちゃんと付き合ってるんじゃ
ないすか。」
・・・
はあ?
「んな訳あるか。なんでだよ。」
だって。と木崎は唇を尖らせる。
「バレンタインチョコ貰ってたじゃないですか。
俺知ってんすから。帰り間際呼び出されて
エレベーターの奥の踊り場でラッピングされたヤツ
貰ってんの・・・。叶さん 誰からも貰わないって
女子社員の間じゃ有名なのに。あれ。なんすか。」
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