242 / 292

18

ああ。はい。 そうでしたね。 「・・思うんだけど。一緒に居る間にどうするか じゃねえのかなって。」 「・・どうするか?」 うん。そう。 「毎日毎日さ。あっという間に過ぎていく訳ですよ。 仕事して飯食って寝て 気がつけば年取っちゃって。 20代の時はさ。30になったらすげえ オジサンになるとか思ってたじゃん。 でも知らないうちに30も突破してさ。 40になったらとか想像もつかないけど それもきっとあっという間なのかなって。」 「・・そうだね。」 新も頷く。 ぴしゃぴしゃと雨がコンクリートを叩きつける。 涙雨ってヤツかな。 なんだか物悲しい音に聞こえる。 こんな風に感じるのも年を取った証拠かもしれない。 でも。。 「ただ。年を取っていく間にさ。 どうしていくかだと思うんだよな。 俺たちだってさ 最初出会って付き合い始めた頃と 今じゃ 関係性も変わってきてるだろ。 一緒に生活して 愛情ってのもちょっとずつ 変化してて。」 あの頃の熱は無くても温かい陽だまりのような 愛情を日々感じてて。 「で。その過程をどうやって過ごしていくか なんじゃないかって思うんだよ。 不満溜めて 話もしなくなって お互いが 全然違う方向を向いてしまっていたら もしかしたら違う方に意識を持ってかれたり 他に愛情を求める様になっちゃうのかもしれない。 これって怖いのがさ。自分で気づかないうちに 勝手に自分の中で育ってっちゃうんだと 思うんだよな。」 そう。 茂さんとスギさんはそうだったんじゃねえのかな。 お互いだんだん知らない内にソッポ向いてて それでいて現実からも目を背けていたんじゃ ないかって。 哀しい話だけど。。 「ある程度努力は必要だと思うんだよな。 他人同士が一緒に居るんだから。 異性だろうが同性だろうが関係なくさ。 無理矢理我慢したり 言いたい事言わなかったり。 それはやっぱり溝を作るだけで。 まあ。何でも言えばいい訳じゃ無いけど でも 理解し合う努力って大事だと思う・・。」 そこまで言いながらくしゃくしゃと髪を掻きむしる。 「あーー。あんまりうまく言えないけど。 ・・そう。何事にも誠実にをモットーに。 俺は新とこれから先も一緒に居る為に 努力はしていこうと思ってます。はい。」 相変わらずポンコツですけど。 なんでもうちょっと上手く言ってやれないかなぁ。。 とにかく無理矢理うんうん。と頷き そう締めくくると 新は俺をぎゅっと抱きしめた。

ともだちにシェアしよう!