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「何か気の利いた事言おうとしてくれたんだと 思うんだよね。ああ!そうだって思いついて 棚の奥から埃まみれの ホットサンドメーカー 引っ張り出してきて 汚いだのなんだのって 大騒ぎして洗って。必死に考えて言ってくれたのに マキさんにそんなにいい例えじゃないわよ!とか ツッコまれてて。中身に丁度いい物がなかったから ツナ缶とマヨネーズだけ。 でもすごく美味しかったよ。」 そっか。 なんか目に浮かぶ。 そうやって少しずつ茂さんは新の心の隙間を 埋めていってくれてたんだな。 きっと それから今まで何度も茂さんに 叱られたり褒められたり。 沢山助けて貰ってきたんだろう。 だからこそ 今の新があるし 俺も出会えた。 不器用だけど温かい。 茂さんみたいな愛情深い人が不幸せになって いい筈ないんですよ。 ホント。世の中はままならないよなぁ。。 新はカップを置くと 俺の前の皿から 一つホットサンドを掴み モグモグと食べた。 代わりに焼きあがった別のホットサンドを 置いてくれる。 ツナとマヨネーズ。 パクッと一口。 シンプルだけど確かに旨い。 「・・だからね。茂さんに言ってみたの。」 「言ってみた?」 ・・何をだろ。 含みを持った瞳がちらっと俺に向き ニコッと笑みを浮かべた時 店のドアが開き マキさんが店に飛び込んできた。 「新ちゃん!涼ちゃん!ママ 帰ってくるって!!」 ・・え。 帰ってくる。 帰ってくる? 「ホントに?」 慌てて立ち上がり 聞き返すとマキさんは頷いた。

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