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「新ちゃん。アンタ ママに何を言ったの? あれだけ説得しても首を縦に振らなかったのに。」 その言葉に新に視線が集まると 少し恥ずかしそうに首を傾げ 口を開く。 「・・俺たちは家族じゃ無いの?って。 ただそうメールしただけだよ。 家族が居るなら ひとりぼっちじゃないでしょ。」 「・・家族?」 マキさんは驚いたように復唱した。 新はコクンと頷き 遠くへと目をやる。 「うん。家族。あたしがあんたのママになって あげるって 茂さん いつも俺に言ってたじゃない。 よく怒られたし 本当に身内みたいにいつも 親身になってくれて。。だから 聞いたの。」 俺に視線を戻し 射る様な瞳に見つめらた。 「・・茂さんも俺を捨てるの?って。」 ・・ああ。 そっか。 ・・そうだよな。 新にしたら 茂さんも大事な家族。 本当の家族を持たない新にとって 茂さんはきっと親代わりみたいな人で。 茂さんは新の境遇を知ってる。 そのメッセージを読んでどう思ったか。 痛いくらい気持ちがわかった。 茂さんの。 そして。新の気持ちが。。 もう。二度と。 失いたくないよな。 うん。 「・・良かった。」 新はポツリそう呟くと ホッとしたように 柔らかく微笑む。 安心したのか じわっと瞳を潤ませた。 胸がきゅっと苦しくなる。 うん。 良かった。 ホント 良かったな。新。。 込み上がる涙を隠すように背中を向け 新はマキさんの為のホットサンドを焼き始めた。 勿論。 ツナとマヨネーズ。 うちの定番になりそうだな。 ぐすぐすと泣き始めるマキさんを座らせる。 小刻みに震える広い背中を眺めながら 冷めたホットサンドにパクリと食らいついた。

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