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言葉
はあ。。。
服部薫は深いため息をつきながら窓へと目を向ける。
ああ。雨降りだしちゃった・・。
置き傘あったっけ。
そう思いながらも自分のデスクから
立ち上がる気にもならず かといって
何もする気にならない。
目の前には処理を待つ書類が束になっている。
明日は代休。
今日のうちにやらなきゃいけないのに。。
総務課は人数も少なく 処理業務は膨大。
仕事は単調で 叶や大和のようなやりがいを
感じている訳でもない。
でも。なんの取り柄もない自分は
管理部門がお似合いだって最初からわかってた。
昔からクソ真面目なヤツって陰口叩かれるくらい
ただ真っ直ぐに決められた事をちゃんとやる性格。
だから。
大和のような人に憧れる。
破天荒で。才能に溢れてて。実行力があって
自分の道を自分で切り開いていける。
人に言われたからとか。
ルールで決まってるからとか
そんなもの何の意味も無いとぶち破っていける
そんな大和に・・・。
いっぱいいっぱいになって。
叶に話を聞いて貰おうと家まで押しかけて
パートナーさんに叱られた。
当たり前だ。
独りよがりに自分の不満や後悔を叶にぶつけて
一体俺は何をしようとしてたんだろう。
後悔してる。
やっぱりこんな事間違ってる。
普通じゃないよねって叶に言おうとしてたんだって
指摘されて初めて気づいた。
そんな風に言ったらその言葉に
叶自身が傷つくなんて思いもしないで・・・。
情けない。
人としても。
企業の管理に属する人間としても。
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