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「店を改装するんだよ。で。その間に新が・・ ああ。新って言うんだけど。 大阪に行ってみたいっていうから じゃあ旅行でもって話でさ。 観光ゼロのただ飯をたらふく食う旅行。」 「ああ。そうなんだ。いいね。 そうか。二人とも食に関わってるから 興味も一緒なんだね。そういうのって 大事なんだろうなぁ・・・。」 大和と俺にはそんな物何もない。 正反対で。 俺自身何も興味が無い人間で 大和はそれこそ仕事にしか興味が無い。 付き合っていた時も体の関係ばかりで それも不安を駆り立てた一因だったし・・。 叶は黙って俺を眺めながら 勝手に隣の席に 置いてあった飴を掴み 口に放り込む。 コロコロと舌で転がしながら コクンと首を傾げた。 「何。十条と話。してねえの?」 ドキンと胸が音を立てた。 してない。 というか。 しようとはしたけど。 「・・話にならなくて。どちらも一方通行。 理解出来ないし理解して貰えないっていうか。 前からそうだったから。。。」 つい愚痴が口から飛び出し ああ。いけないと 急いで塞ぐ。 パートナーさん。。 新さんか。 叶にこれ以上負担かけないでくれって言われたのに。 ちゃんと大和と話して どうするか決めてから 話をしようって思ってて。 「でも。大丈夫。ちゃんと話するから。 旅行楽しんできてね。俺。お土産豚まんがいいな。」 敢えて明るい声音を作り そうねだってみると 叶はじっと俺を見つめ 口を開いた。 「あのさぁ・・。新になんか言われた?」 え。 「この間うちに来た時さ。新にも何話したって 聞いたら 世間話って言ってたけど。 俺に聞かせたくないってアイツ思って 何かキツイ事 言ったんじゃねえの?」

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