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そうだけど。
でも自分にそれを責める権利は無くて。
答えられない俺を暫くじっと眺めると
「話を聞いて欲しかったんじゃないのか。」
そう言って 煙をゆらゆら吐き出した。
「だって・・まず。その前にヨリを戻すなんて
一言も言ってないのに・・。」
つい我を張り そう口にすると
「そこからか。」と呆れたように返される。
まただ。
結局いつもこうなってしまう。
お互い話も出来なくなる。
無言に押し潰されそうになって・・。
どうしてこう素直になれないんだろう。
今までもそうだった。
自分は違う。
流されただけだって自分にいい訳して
きちんと向き合わずにきたクセに。
好きだけど不安だって。
素直にそう口に出来れば・・。
大和は煙草を灰皿に押しつけると
立ち上がり またキッチンへと向かった。
呆れたんだろうな。
話したいって言って何も満足に話さない俺に。。
胸がぎゅっと苦しくなる。
俯き 缶ビールを潰しかねない程握りしめると
戻ってきた大和は テーブルにポンと
うちの製品の醤油のペットボトルを置いた。
試作品のシールが貼ってある小さいサイズ。
・・これは。
意味がわからず 隣に座った大和へと目を向けると
また煙草を咥えて 火を付けようとする。
もう。。
「吸い過ぎ。」
缶ビールをテーブルに置き 火がつく前の煙草を
引ったくると 大和は目を見開き
「なんだ。まだ心配はしてくれるんだな。」
そう言って ふっと笑った。
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