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それは・・。
するに決まってる。
いつだって心配で。。
付き合っていた頃 母親の様に世話を焼いていた事を
思い出した。
口ではぶつぶつ文句を言いながら。
一つの事にしか興味が無く 他は壊滅的に
何もしない大和の役に立ちたくて。
そうやって傍に居る理由を探して。
でも。このままでいいのかと不安になった。
自分は大和にとって母親みたいな存在に
なってしまうんじゃないか。
体の関係しか繋がりを感じられなくて。
それも飽きて 大和が他に行ってしまったら
どうなってしまうんだろうって・・。
だから別れたのに。
それでも忘れられなくて。
で。結局後戻りも出来ず 宙ぶらりん。
押し黙る俺を眺めながら 大和は掌を差し出した。
煙草を置くと 箱に戻し 代わりに
醤油のペットボトルを掴んで俺に握らせる。
「お前が不安を抱えていたのは気づいていなかった。
若かったし 元々周りがどう思うか等興味が無い。
自分達さえ良ければいいと思っていたし
お前が言っている事を理解しようとも
していなかった。傲慢だったな。
きちんと話をして 不安を取り除くべきだったと
今更ながら思う。」
え。
あまりの率直さに驚いて口が開く。
大和の言葉とは思えない。
そんな俺の様子に 大和は苦笑し
「流石にこの年になってそれもわからないようなら
マズいんじゃないのか。これでも一応管理職
なんだがな。お前が一番よくわかっているだろう。」
ツンとオデコを突かれた。
「そ・・そうだけど。」
会社での大和は今までの大和と何も変わらなかった。
自分の信念の元 どんどん成果を上げて
出世していく姿が眩しくて。
自分は何者でも無いと思い知らされて。
必要無いと思わされた。
だから・・。
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