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新は長い足ですぐに俺に追いつくと 「大丈夫だよ。」と肩をぶつけてきた。 「大丈夫。今日で全部解決なんて思ってないでしょ。 涼が言ってた通り 何度でも足を運ぼうよ。 理解して貰えなくても 嫌悪されても 何度でも。」 ね。と顔を覗き込まれて コクンと頷く。 そう。 まずは第一歩だよな・・。 この足を踏み出すか踏み出さないかで全然違う。 これからの俺たちの人生にとっても 大事な大事な一歩・・・。 「静香さんはどうだったの? 電話した時 話したんでしょ。」 新が話題を変えた。 「ああ。うん。すげえ元気で自分の話ばっか。 愛梨がかなり動き回るから大変だって ぶつぶつ言っててさ。 ああ。それになんか 泰雄さんしょっちゅう帰ってくるらしいんだよ。 離れてみて家族の有難味がわかったんじゃない。 とか姉ちゃん言ってて。育児も家事も率先して 手伝うようになって気味が悪いとか悪口言ってたけど 結構・・いやかなり嬉しそうだった。」 あの人もやり直そうとしてんだよな。 一人になって自由を手に入れて遊ぶ人も いるだろうけど そんな勇気あるタイプでもない。 俺にあんな事したとはいえ 姉ちゃんが嫌いとか 愛梨が可愛くないとかでもないんだろうし。 このまま離婚かなって内心思ってたけど 意外と離れてからの方が上手くいってるみたいで。 「前に新が言ってたけど 繋ぎ止めるものって 大事なのかもな。姉ちゃんと泰雄さんには 愛梨がいるし。問題抱えてたって 別れないで 上手くやれる人達もいるんだよ。きっと。」 そう。色んな形がある。 人それぞれ。 ・・・俺たちも。 「頑張らないとな。親に納得して貰えれば 籍を一緒に出来る可能性も出てくるし。うん。」 泣き言言ってる場合じゃ無かった。 そうだ。 頑張らないと。 まずはこの難関を突破して・・・。 「うん。でも焦らないでいいよ。 その気持ちだけで充分。 まずは一つ一つ 乗り越えていく事だけ考えて 頑張ろうね。」 新はそう言って ポンポンと俺の頭を叩いた。 だな。 よし。

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