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7.泉里SIDE

氷雨が交流会に行った日、俺はいつもと違う薬を渡された。 適切な治療方法がまだ判明していない難病だ。違う薬も試してみて様子を見てみようと言われ、それを口にした。 錠剤な為いつもと味は変わらない。 病気の事は何も分からないし、医師に任せておけば大丈夫だろう。 軽い気持ちで服用したのだが、翌日から違和感を感じた。 なんか頭が痛い。全体的に怠い様な重い様な変な感じ。 いつもより少し体温も高く呼吸や脈拍も早かった為、担当医から少しでも気分が悪くなったら保健室に行くか早退しなさいと言われた。 フラフラしながら向かった学校。 体調が思わしくない事を告げ、体育は休ませて貰う事にし今日は1日大人しく教室で過ごす事にした。 無理せず大人しくしていたにも関わらず、ガンガン酷くなる頭痛。 そのせいで目眩と吐き気に襲われていたら、鳳くんが保健室に俺を連れて行ってくれた。 ほんっと優しいのか優しくないのか分からない人だ。 「大丈夫か?」 初めて聞く労る様な優しい口調。 病人には優しいんだな。 保健室に保健医は居なかった。 何処に行ったんだろう。職員室かな? ゆっくりベッドに寝かしつけられ、布団を掛けられた。 「お前さ、薬変えただろ?」 え? 何故それを鳳くんが知っているのだろうか。 「多分それあってないと思う。スッゲェ頭痛と吐き気するだろ?」 当たっている。 どうして分かるんだ? 「俺の家さ母親と妹がΩなんだ。発情抑制剤って色々な種類があって、自分に合う薬を見付ける迄色々試すんだけどさ、稀に強過ぎたり合わない時今のお前と同じ症状になってた」 ……………え? 何言ってるんだ。 Ω? 発情抑制剤? 「いや。その、俺が飲んでるのは違う薬だよ。病名知らされてないけど俺病気みたいでさ、症状抑える為薬飲まされてんの。で今回は実験的に薬を変更してみたってヤツ。まぁ、合ってないのかもね?気分最悪だし。でも心配してくれたんだよな?ありがとう鳳くん」 そういえば初めてだな鳳くんにお礼言うの。 こんなに穏やかな気持ちで話したのも初めてだ。 「俺はαだよ」 氷雨や家族や担当医や学校が嘘をつく筈がない。 皆が俺をαだと言うのなら、たとえ血液検査の時期見た目がΩだったとしても俺は間違いなくαだろう。 今では背も人並みに伸びたし筋肉も付いた。 毎日欠かさずトレーニングしているから体力も付いてきたし、病気さえなければ完全に健康体だ。 「……………俺にはお前がΩに見えるんだが、気のせいか?」 は? 「確かに見た目は天使から綺麗系の王子に変わったけれど」 ん、ちょっと待て。 今何て言った。 天使?王子? って、鳳くんは誰の話をしているのだろう。 「えっと、今誰の話をしてるの?」 「は?お前の話に決まってんだろ?」 はい? 「外見は変えられても匂い迄は誤魔化せないな。上手く誤魔化してるつもりかもしんねぇけど全然誤魔化せてないぞ。でも香水かコロンか何かしら匂いがするヤツ付けたら少しはマシになるか」 えっとさっきから一体何の話をしているのかサッパリ理解出来ないのだが。 もう少し分かりやすく説明して欲しい。 「取り敢えず今は寝とけ。で放課後一緒に匂い誤魔化す香水買いに行くぞ」 一方的に約束を取り付けた鳳くんは俺に寝とけと命令をすると保健室を出て行った。 一体何が起きたのか全く分からなかったが、折角ベッドに休ませて貰ったんだ。ゆっくり休もう。 目を閉じた。

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