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13.泉里SIDE

お風呂の中で沢山キスしていたら逆上せた。 「大丈夫か?」 「ううん、気持ち悪い」 鳳くんは軽く戻してしまった俺を抱き上げ、ベッドに運んでくれた。 「飲ませてやるからゆっくり飲み込めよ?」 「…ん、っん、んん、ふぅ、ん」 寝かされた状態で頭の下に手を添えられ口移しで飲まされる水。 少し頭が上に持ち上げられているからか、スムーズに喉を潤していく。 時間を掛けてゆっくり与えてくれた。 水分補給が終わると同時に拭かれ始めた身体。 鳳くんも氷雨同様世話好きだな。 耳の後ろや指の間の細かい所迄丁寧に水滴を拭ってくれた後は新しいタオルで髪を拭かれた。 其処迄丁寧にされたら普通の人はドン引きか嫌がるかもしれないが、湯逆上せで力が入らない為今は正直ありがたかった。 助かった。 妹さんが小さい頃とかお世話してたんだろうな。 かなり面倒見が良い。 ルームウェア迄着せてくれたし。 「ありがとう」 お礼を言うと 「どういたしまして」 チュッ、唇が重ねられた。 ベッドに寝かされ、布団を掛けられる。 少し疲れたからか睡魔に襲われた。 それに気付いた鳳くんに撫でられる頭。 優しく労る様に髪を梳かれ、ゆっくり瞼が閉じた。 どれ位休んでいたのだろうか。 目が覚めると頭痛は殆ど治まっていた。 が、身体の熱は逆に上がり、全身がドクドク嫌な鼓動を鳴らしていた。 「んっ」 俺の起床に気付いた鳳くんが口移しで水を与えてくれる。 同時に口内に広がる甘い味。 唯の水の筈なのに美味しくて堪らない。 癖になりそうだ。 離される唇にもっととせがむと再び与えられる水。 数回繰り返され潤った喉。 だが、身体の熱は上がる一方だ。 「一度発散させた方が楽になりそうだな」 額に浮かぶ汗を指先で拭いながら言われた台詞。 発散って、何をするのだろうか。 運動か? 「走ったりするの?」 質問すると 「まぁ、ある意味運動に近いな」 苦笑された。 重ねられる唇。 数え切れない位キスをされ、脳内が蕩ける。 著しく思考能力が低下し、何も考えられない。 首筋、項、鎖骨へと這わされ、胸元に辿り着いた唇。 キスだけでなく、吸われ、甘噛みされた。 女性ではない為感じない筈なのに、気持ち良くて堪らない。 「ん、ぁ、ふ…ぁ」 漏れる声に甘みが増す。 まるで自分の声じゃないみたいだ。 気持ち悪い。 聞かれたくなくて唇を噛み締め、口元を手の甲で押さえた。 「ん、どうした?まだ気持ち悪い?吐く?」 浴室で軽く戻したのを心配しているのだろう。 頭を撫でられながら優しく聞かれ、フルフル頭を左右に振った。 「違う」 「少し休もう。水飲むか?」 そうじゃない。 恥ずかしかったんだ。 そして怖くなった。 「……声。俺の声変だ。鳳くんに触られて変な声出た。気持ち悪い」 「変じゃないよ。凄く可愛い」 「嘘。だってなんか甘ったるくて嫌だ。聞かせたくない」 「何で?俺は聞きたいよ」 「気持ち悪いって、黙って欲しいって、思わない?」 「思わない」 「嫌じゃない?俺、鳳くんに嫌われたくない」 言いながらポロポロ零れる涙。 思考能力が落ちてるからか涙脆くなっているらしい。 感情も上手く制御出来ない。 ヒックヒック小さな子供みたいに泣きじゃくる俺を鳳くんは優しく宥めてくれる。 「嫌わないよ。大好きだ。俺が泉里を嫌うなんて有り得ない。天地がひっくり返ってもそれだけはないな」 チュッチュッ、顔中にされるキス。 「愛してるよ泉里。誰よりも愛してる。たとえどんな事があっても俺の気持ちは変わらない。だから安心して?泉里は可愛いよ。声も顔も全て世界で一番可愛い」 いや、それは言い過ぎだと思う。 だが、凄く嬉しい。 「愛してる」 真っ直ぐ目を見ながら言われ 「嬉しい」 俺は喜びの涙を流した。 再び再開された口付け。 我慢せず出して良いと言われた為、口元を隠さず感じていたら 「やぁ、ぁあぁああ」 有り得ない位甘ったるい声が出て焦ったが 「可愛い」 嬉しそうに微笑む顔を見て安心し、力を抜いた。 折角着せて貰ったのに、いつの間にか脱がされていた服。 ベッドの上、二人して何も着ていない。 なんか変な感じだ。 男同士だから恥ずかしさなんてない筈なのに、凄く恥ずかしい。 「あんまり見ないで?」 そっと鳳くんの目元を掌で覆うと 「だぁ~め。見せて?沢山見たい。泉里の可愛い顔沢山見せて欲しい」 やんわり手を避けられた。 ふわり向けられる柔らかな笑顔が、甘くて優しい声が恥ずかしい。 だけど、どうしてだろうか。 それ以上に幸せだ。 「続きさせてね?」 耳元で囁かれ、コクリ小さく頷いた。

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