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新しい日にはレモネード

髪を染める予定を決めて、遊びに行く予定も決めて、平坦だった日々に、ほんの少しの変化。 俺はきっと、圭典以外に目を向けないといけないから。 朝、俺は教室でスマホをぽちぽちしながら、色んなインナーカラーの画像を眺めていた。自分じゃ絶対染めないと思うけど、アッシュパープルって結構きれいだな、とか思いながら。 「マッキーおはよぉ~」 「あ、おはよ。樋口さん」 ふわわ、と大きなあくびで樋口さん登場。 「何見てんのぉ?」 「あ、これ? ヘアカラー?の画像」 「え、マッキー髪染めんの?」 「うん。あ、全体じゃなくてインナーカラーだけど」 「へぇ~! 新鮮~! 何色?」 「えっと、ミルクティーアッシュ? そんなに派手じゃないし、昨日画像見せてもらっていいな、って」 別のタブを開いて、昨日あっしくんに見せてもらった画像を出す。 「マッキー、これピンク足そうよ」 「何て?」 「ミルクティーピンクアッシュってのがあってえ~」 「え、これ違いある…?」 「あるじゃん! ちょっとよく見てぇ!」 樋口さんのスマホの画像と俺のスマホの画像と……え、色の違いがあんまりよく分かんない…。 ピンク入ると可愛いから!とか力説されてるけど、俺別に可愛さ求めてない。っていうか、昨日からピンク勧められてるなぁ、俺。 …あ。 不意に、昨日樋口さんが何か言いかけていたことを思い出す。 「ねぇ、樋口さん。そう言えば昨日の朝 何か言いかけてたよね? 先生来たから聞けなかったけど、あれって何だったの?」 「え?」 マスカラに縁取られた目を大きくさせた樋口さんが俺を見た。 睫毛重そう…とか、関係ないことを思う。 「あー…あのね、う~ん…」 「??」 何でか少し言いにくそうな樋口さん。 「…あんさぁ、あたしの勘違いかもしれないんだけどさ。…マッキー、マナミちゃん苦手なんかなぁ~、って、ちょっと思ってぇ」 「え」 「マナミちゃん来るとさ、何だろう…ちょっと気まずそう? 昨日もすぐ席立ったじゃん?」 俺…傍から見たらそんなあからさまだったんだ…。樋口さんがそう感じてるなら、佐田さん本人はどう感じてるんだろう…。圭典も…。 嫌だな、って思ったのは無意識で、その『嫌だな』は『圭典に嫌われたら嫌だな』だってことを、俺はよく知っていた。 …自己嫌悪。 「あ、ごめんねぇ? あたしが勝手にそう感じただけだからさぁ~」

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