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第20話
学食で、俺はミックスフライ定食を、あおと由音はカツ丼を、あっしくんは日替わりを頼んでテーブルについた。
「あっしくん、今日の日替わり何?」
「海老カツ」
「俺も日替わりにすれば良かったな…」
「ひとつ交換するか?」
「えっ、あっ、ありがとう!!」
「佐川、カツ一切れ交換する?」
「待って日高くん、俺たち完全に同じもの頼んでるよ」
「羨ましそうにしてたから、俺なりの優しさ」
「ありがとう、日高くん。交換しよう」
それは果たして意味があるのか。
カツ丼のカツとカツが交換された。
「七織、不可解なものを見る目はやめて」
「ごめん。でも不可解」
「カツ丼のカツとカツだからな」
「あっくんと七織が仲良くおかず交換するからだよー」
唇を尖らせる由音の目の前で、あおが無言でカツにかぶりつく。お腹すいてたんだね。
じゃあ話は食べた後で、ってなって、俺たちはそれぞれ箸を取った。
「日高くんって細いのに食いっぷりいいな」
「あおはたまにびっくりするくらいよく食べるよ」
「へいほうひらはわ」
「何て?」
「飲み込んでから喋りなよ…。多分、『成長期だから』って言ったと思う」
成長期とは言え、俺もあおも170はないんだよな。あっしくんと由音は余裕で170以上ありそうってか絶対ある。
「あっくん、漬け物食べて」
「いっつも漬け物だけ残しやがって」
「だって苦手なんだしー。残すより食べれる人に食べてもらう方がいいじゃん」
「七織、グリンピースあげる。好きでしょ」
「素直に食べれないって言いなよ…」
「何でカツ丼にグリンピースのせるわけ? 彩りなら三つ葉にすればいいじゃん」
「グリンピースの方が安いんじゃないの? 冷凍でたくさん入ってるし」
「カツ丼にグリンピースは邪魔」
そんな会話をしながら食事を続けていると、不意に由音が「あ。」と声を上げた。箸からカツが丼の上へぼとりと落ちた。
「おい、手元見て食え」
あっしくん、嫌そうな顔はやめてあげて。
「あっくんは俺のお母さんかよ。滝島がこっち見てたからさぁ」
「今日 学食なんだ。珍し」
全然興味がなさそうなあおは、カツ丼から視線を外さない。
「そう言や滝島とつるむの減ってたんだっけ? 向こう行くか? 話詰めんの放課後でもできるし」
あっしくんは優しい。けど、俺は首を振った。仲のいい圭典と佐田さん見ながら食事なんて、絶対できないし喉を通らない。
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