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第21話

「邪魔者になっちゃうから、行かない。元々あっしくんたちと約束してたし」 だからいいよ、と言うと、由音もあっしくんも「そっか」って言っただけだった。 「つるむの減らしてんの圭典の方だしね」 あぐ、とごはんを頬張りながらのあおの一言に、由音とあっしくんの手が止まる。一瞬、不味いところに触れた? みたいな空気が漂って、俺は慌てて口を開いた。 「あの、彼女優先ってことでね、別にケンカしたとかじゃないし」 「一緒に遊ぶの毎回断られるけどな」 「ちょ、あお…っ。か、彼女大事!って感じなだけだから」 「友達大事じゃな~い、って感じ」 「あおっ、いやあの、えっと…でもケンカはしてないよ!?」 「ケンカにもなんないじゃん。接触減ってんだから」 「そ…」 まぁ、そうですけど…。 「全然遊んでくれなくなった、って昨日言ってたな、そう言えば」 「佐田さん可愛いし、自分がいない時にちょっかい出されたら嫌なんだろうね」 丼の上に落としたカツを口に運びながら、由音が言う。 「七緒たちと、佐田さんも友達誘ってグループで遊べばいいんじゃねーの?」 「ふたりでいたいんでしょ?」 「たまには、ってこと」 「俺もそういう遊び方好きだけど、滝島はそうじゃないんじゃない?」 「男だけで気楽に遊びたい時とかあるけどな、俺は」 「それは俺もそうー」 まぁ、人それぞれだよね。こういうのは。 圭典と一緒の時間がなくなって、俺はすごく淋しかったけど、もしかしたらあおもそうだったのかな。だからこういうことを言うのかも知れない。 それか――あおは俺の気持ち、知ってそうだから…。 食べ終わって、スマホで電車の時間を見ながら、スポッチョのHP見ながら、待ち合わせ場所と時間を決める。 「駅前の噴水のとこでいいよね」 「分かりやすいしな。より、遅刻すんなよ」 「が…ガンバリマース…」 すんごい不安そう…。 「…あの、俺 電話しようか…? 朝」 「えっ、ほんと!? いいの!?」 俺の申し出に、由音は顔をパッと上げた。目が輝いてる。 「いいよ。何時なら間に合う?」 「えっとー…6時半…?」 「6時に入れてやってくれ」 「じゃあ、俺が起きたら由音に電話する」 「七緒、ありがとー!」 って言ってる俺が寝坊しないようにしないとね! 「あ、俺昨日買ったTシャツ着てこよ」 「じゃあ七緒も買ったやつ着て来てね」

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