28 / 99
第28話
わたしもそこに変えようかな~、って言う菊野さんとちょっと笑い合う。今は圭典を見たくなくて、「あ、そろそろチャイム鳴るね。また後で」って、俺はそそくさと席に戻った。
次の休み時間も圭典と何かあったら嫌だな、って思ってたんだけど、次の休み時間には由音とあっしくんがやって来て、また4人でお昼を食べようって誘われた。
「もちろんいいよ」
「やった。じゃあ今日は、俺とおかず交換しようね!」
由音にそう言われ、俺は思わず笑う。
「いいよ。由音 今日は何食べるの?」
「うーん…唐揚げかな。七織は?」
「日替わりにしようかな。今日の日替わり何だろう。楽しみだね」
「ねー!」
由音の華やかな明るい笑顔って何だか安心する。何があっても大丈夫、って思えるような、そんな力強さみたいなのがある。
由音が俺の手を取ってニコニコ笑うから、俺もつられて顔が緩む。
仲良しだな、ってあっしくんが笑って、俺たちも手ぇつなぐ? ってあおに聞かれてまた笑ってた。
「日高くん、そういう冗談言うタイプだったんだな」
「うーん。まぁ、たまにはね」
「じゃあ繋いどくか」
「幡中はノリがいいね」
「ノリが悪いとよりとつるんでられねーから」
「確かに~」
え、日高くん、そこ納得するとこなの? って由音が言ってて、俺は笑ってしまった。
「日高くんって、結構指しっかりしてるよな。何か格闘技とかやってる?」
「へぇ、すごいね幡中。そういうの分かるんだ。俺一応、合気道黒帯」
「えっ、すげぇな」
「でもあっくんもキックボクシングやってるじゃん」
突然明らかになる、みんなの格闘技(?)事情。もちろん俺は何にもやってません。
「キックボクシングかぁ。カッコいいね。ねぇ、腹筋触らせてよ」
あおが両手をわきわきさせて楽しそうにしてる。俺も触ってみたいな…。
「いいけどそんな大した腹筋じゃねぇよ?」
「日高くん、これ嘘だよ。俺体育の時にちゃんと見てるもん。バキバキだよ」
「期待値跳ね上がる。腹筋見せて」
あっしくんが苦笑いでワイシャツとインナーをちょっと捲った。女子が密やかに注目してるのが分かる。
「うわ、すご! 締まってんね~」
由音の言う通り、あっしくんのお腹にはきれいに筋肉がついていた。こいつはすげぇ。
触るとすんごい締まってるのが分かる。こいつはすげぇ。
何となく由音のお腹も触ると、こちらも結構固かった。
「ちょっと七織、くすぐったいから服の上から触るのやめて~」
ともだちにシェアしよう!