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第31話

「いーじゃん。すっごい仲良くなって、圭典に嫉妬させてやってよ」 「日高くん、悪い顔してるよ~」 圭典は嫉妬、しないと思うけどな…。俺は佐田さんじゃないし。 「じゃ、今日も一緒に帰るか」 「うん」 あっしくんの提案に、俺はすぐに頷いた。 2人といるのは純粋に楽しい。 「七織もそうやって圭典以外に懐くといいよ」 「え、」 俺は思わずあおを見た。 「七織が一緒にいて楽しいって思うの、圭典だけじゃないでしょ」 「それは…、うん」 あおの視線は大盛りラーメンに注がれたままだったけど、口調は何だか優しかった。 俺、自分のことばっかりだったけど、あおに心配させてたんだな、きっと。 「…ありがと」 「別に何もしてないけど? それより七織、メンマあげる」 「メンマ美味しいのに」 「美味しいからあげるんだよ」 ラーメン食べる度に俺にメンマくれるのはそういうことだったんだね。いや、好きじゃないからくれるって分かってるけど。 「七織はさぁ、見てるこっちがほっこりするくらい素直だよねぇ」 「え、なに急に」 由音がほんとにほっこりした表情で俺を見るから、何となく照れる。 「彼女よりも癒されると思うんだけどなぁ」 「それは個人の感じ方の違いだろ」 「そうだけど」 彼女、の単語に少しドキッとしてしまう。 「けど髪の色でそんな風に言うなんて、俺たち滝島にどんな認識されてるんだろーね」 「頭派手と思われてんじゃねぇの? よりは」 「あっくんだって頭…そこまでじゃないかぁ」 「これで赤とかピンクだったらそう思われてたかもな」 赤とかピンクも似合いそうだけど、あっしくんはやっぱり今の色がいいと思う。 「髪の色は、いいんだ。自分でも気に入ってるし。好きじゃないって言われても、俺は好きだし」 「滝島に『好きじゃない』って言われたの?」 「あ…」 愚痴みたいになっちゃった。 「えっと、見慣れないから、って」 「じゃあ見慣れたら好きになるよ、大丈夫」 由音はそう言って明るく笑うと、唐揚げと交換した春巻きに箸を伸ばした。 「ってか、見慣れなくても好きだけどねー、俺は」 「でしょ? もっと言ってやってよ、佐川。幡中も」 「そうだな。ま、滝島は自分の知らないところで変わったから気に食わないのかもな。でも、七織のことは七織が決めていいし、七織がいいと思ったものが一番いいに決まってる。俺もよりと一緒で、似合ってると思うし、好きだぞ」 「あ…ありがとっ」

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