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第41話
「あおも行こ」
「うん」
あおは素直に頷いて、俺たちと一緒に教室を出た。
「佐川、さっきはありがとね」
歩きながら、あおが由音に声をかける。由音は笑顔で「んーん」と首を振った。
「ちょっと嫌な感じかな、と思って。何か…嫌じゃん? 元気なかったのも、あのー…えーっと、あの人が原因? でしょ?」
「うん、まぁね」
…2人は何の話をしてるんだろう?
「幡中も、連れ出してくれてありがと」
「単純に俺が居づらかったからな」
「俺だって居たくなかったからいいよ。あいつが余計なこと言いそうだったし。っていうか睨まれてたよね。ごめん、損な役回り」
「いいって。元々そんな良い印象無さそうだしな」
「ほんと勝手だよね」
あおが嫌そうに言って、あっしくんは苦笑い。
「俺らは別に良いけどな。クラス違うし、そんなにかかわりないし。でも一番しんどいのは…」
「うん。まぁ本人気付いてないけど」
「それならそれで良いんじゃねぇの?」
「まぁね」
えっと…この2人も2人にしか分からない会話してる…? 俺だけ置いてけぼり感が否めないけど、まぁいいか。
4人でダラダラ喋りながら自販機に向かって歩く。そのうちあおが、たったと小走りで自販機へ駆け寄って行った。
「あ。七織、ムーンライト入ってるよ」
「えっ、ほんと?」
自販機を覗き込んだあおにそう言われ、俺も同じように隣に並んだ。
「ムーンライト好きなんだ?」
由音に聞かれて頷く。
「バームロールとルーベラも好き」
「ルーベラ俺も好き~」
「美味しいよね」
ムーンライトがここで買えるのはいいな。わざわざコンビニ行かなくて済むし。みおりんのCMのキャンディまだ残ってるから、あれが終わったら買おう。
自販機を覗き込みながら、他にも好きなお菓子が入っているのをチェックする。あのお菓子は圭典が好きだったな、って思い出して胸が痛む物もあったけど、俺はそんな風になる自分を嫌だとは思わなかった。
こうやってひとつひとつ、気持ちに整理をつけていくんだ。少しずつでいいから。
何となくそのまま4人で他愛ない話をして、予鈴が鳴る前にそれぞれの教室へ戻る。お昼一緒に食べようね、と約束をして。
教室に入れば、もうクセのようになってしまっている俺は、すぐに圭典の姿を探してしまう。圭典は何だか少し不機嫌で、苦笑いの佐田さんに宥められていた。
その光景は俺の鼻の奥を痛くしたけど、視界が滲むことはなかった。
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