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第45話

っていうか、あれ? まだそんななの? ってことに気づいて、俺は隣にいるあっしくんをまじまじと見上げた。 あっしくんはまぁ、小さい頃の友達だったからアレとして、由音に至ってはまだ知り合って4日目なの? なのにこんなに…ほぼ毎日一緒にお昼食べてほぼ毎日一緒に帰ってるの? え。すごくない? 「どうした?」 俺があんまりにもまじまじと見てるもんだから、あっしくん怪訝顔。 「いや、あの…こうやって一緒にいるようになってからまだ4日しか経ってないんだな、ってことに改めて気づいてびっくりしてる」 「あー…」 それな。みたいな感じのあっしくん。 「よりは割といつもこんな感じだけど、七緒はちょっと珍しいかもな。小さい頃、内向的って言うか…そんな感じだったし」 「うん。俺、あっしくんの後ろにいた気がする」 「言われてみれば」 あっしくんが軽く笑い声を上げた。ちょっとコワモテと言うかワイルドな感じのイケメンが、笑うと可愛いとか卑怯じゃない? 「え、俺が何? 今呼んだ?」 あおの向こうから由音がひょいっと顔を出す。 「知り合ってまだ1週間も経ってなかったことにびっくりしてた」 「あれ? まだそんなだっけ? 俺もう1ヶ月くらい経ってると思ってた」 「よりの時間感覚どうなってんだ」 「えー? だって七緒たちといるの楽しいし」 「楽しいっていうのは…はじめて言われた、かも」 「そうなの?」 楽しい。って、圭典も思ってくれてたのかな。 どうなのかな。俺は…楽しくて、少し、苦しくて切なかった、けど。 「七緒は静かだから、楽しいよりは落ち着く、かな。俺は」 あおがそう言うと、由音は大きく頷いた。 「分かる。マイナスイオン出てるよね」 「俺、滝じゃないよ」 「滝より春の小川って感じだな」 「分かる。癒やされる」 「…ふーん」 「七緒、照れてるでしょ」 「てっ、照れてはないっ」 嘘。 すんごい照れてる。そんな風に言われたの初めてだから。 「あんまり握ると中身飛び出るぞ」 あっしくんが笑いながら俺の手からアセロラジュースを抜き取った。 「て、照れてないですから」 「分かった分かった」 「そこ2人、幼馴染感あるよね」 「そっ、そうかなっ?」 「七緒、それも照れちゃうの? 可愛いねぇ」 由音がそう言ってけらけら笑う。 「かっ…照れてないですからっ」 「さっきから何で敬語?」

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