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第66話

あおと予定通りの電車に乗って、集合場所の駅へ向かう。さすがに土曜日の朝は混んでいない。旅行カバンを持っている人や、ジャージ姿の高校生(自分も高校生だけど)くらいかな。 スポッチョのHPを見ながら話していればすぐに駅に着いた。 「俺たちの方が着くの早いんだっけ?」 「そうだね。噴水のとこに座って待ってれば分かるよね」 改札を出て、駅前の噴水広場へ。近くのベンチに座って少しすると、向こうから目立つ2人組が来るのが見えた。ひとり、でっかいあくびしてるけど。 こうやって見ると、あの2人ほんとスタイルいいな…? ただの石畳がランウェイのようだよ。 「おはよう。佐川、目ぇ開いてる?」 めっちゃしょぼしょぼしてる。 「おはよ」 「おはよぉ…いてる…」 「絶対開いてないじゃん。ほんとに朝苦手なんだね」 「電車ん中でも寝てたもんな」  やっぱりか。 「どうする? 佐川の目が覚めるまで最初はカラオケ行っとく?」 「それは悪いから…好きなのしよう…」 「だってそれでテニスとかは危ないでしょ」 「テニスは…むり」 「とりあえず走らないやつにしとけば大丈夫だろ。周りが楽しんでればすぐに目ぇ開くし」 「なるほど。幡中が言うならそうしよう」 「あの、じゃあ俺、ダーツやってみたい」 「いいね。とにかく受付だけ済ませちゃお」 スポッチョは駅から割と近いから、8時には余裕を持って受付を済ませることができた。 「ダーツ初めてやったけど、結構難しい…」 「投げる時力入ってるとか? 紙飛行機飛ばすくらいのイメージでやるといいかも」 「なるほど。優しくていいんだ」 「幡中、俺にもコツ教えて」 俺とあおがあっしくんにダーツを教えてもらってる後方で、由音はまだ目をしょぼしょぼさせていた。でもさっきより開いてるかも? 「佐川、起きた?」 「うん…そろそろ起きてきてる」 「早く起きて。301やりたいから。ペア組みたい」 「あ、じゃあ俺あっくんと」 「誰もがそう思ってんだよ。じゃんけんに決まってるだろ。幡中争奪戦だよ」 「あっくんは渡さないわよ」 「誰だよ」 由音が急に女子になったのはともかくとして、あっしくん争奪戦はあおが勝利した。 「ちょっと待って、練習させて!」 「もうみんな練習終わってんだけど」 「日高くん、俺には冷たいな!?」 あおは早く勝負したいんだろうなぁ。っていうか、俺ももうちょっと練習しときたい。

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