66 / 99
第66話
あおと予定通りの電車に乗って、集合場所の駅へ向かう。さすがに土曜日の朝は混んでいない。旅行カバンを持っている人や、ジャージ姿の高校生(自分も高校生だけど)くらいかな。
スポッチョのHPを見ながら話していればすぐに駅に着いた。
「俺たちの方が着くの早いんだっけ?」
「そうだね。噴水のとこに座って待ってれば分かるよね」
改札を出て、駅前の噴水広場へ。近くのベンチに座って少しすると、向こうから目立つ2人組が来るのが見えた。ひとり、でっかいあくびしてるけど。
こうやって見ると、あの2人ほんとスタイルいいな…? ただの石畳がランウェイのようだよ。
「おはよう。佐川、目ぇ開いてる?」
めっちゃしょぼしょぼしてる。
「おはよ」
「おはよぉ…いてる…」
「絶対開いてないじゃん。ほんとに朝苦手なんだね」
「電車ん中でも寝てたもんな」
やっぱりか。
「どうする? 佐川の目が覚めるまで最初はカラオケ行っとく?」
「それは悪いから…好きなのしよう…」
「だってそれでテニスとかは危ないでしょ」
「テニスは…むり」
「とりあえず走らないやつにしとけば大丈夫だろ。周りが楽しんでればすぐに目ぇ開くし」
「なるほど。幡中が言うならそうしよう」
「あの、じゃあ俺、ダーツやってみたい」
「いいね。とにかく受付だけ済ませちゃお」
スポッチョは駅から割と近いから、8時には余裕を持って受付を済ませることができた。
「ダーツ初めてやったけど、結構難しい…」
「投げる時力入ってるとか? 紙飛行機飛ばすくらいのイメージでやるといいかも」
「なるほど。優しくていいんだ」
「幡中、俺にもコツ教えて」
俺とあおがあっしくんにダーツを教えてもらってる後方で、由音はまだ目をしょぼしょぼさせていた。でもさっきより開いてるかも?
「佐川、起きた?」
「うん…そろそろ起きてきてる」
「早く起きて。301やりたいから。ペア組みたい」
「あ、じゃあ俺あっくんと」
「誰もがそう思ってんだよ。じゃんけんに決まってるだろ。幡中争奪戦だよ」
「あっくんは渡さないわよ」
「誰だよ」
由音が急に女子になったのはともかくとして、あっしくん争奪戦はあおが勝利した。
「ちょっと待って、練習させて!」
「もうみんな練習終わってんだけど」
「日高くん、俺には冷たいな!?」
あおは早く勝負したいんだろうなぁ。っていうか、俺ももうちょっと練習しときたい。
ともだちにシェアしよう!