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第67話
勝負はやっぱりと言うか、あおとあっしくんペアが勝利した。
「ごめんね、由音。俺あんまり上手じゃなくて…」
「何言ってんの。カッコ良かったよ!」
「んッフ。俺がカッコいいってどんな目してんの、由音」
思わず笑っちゃったじゃん。
「でもありがと。由音もカッコ良かったよ」
「七織が素直で可愛い」
由音にハグをされたので、俺もぎゅっとしておいた。
「あと今更だけどそのTシャツ似合ってんね」
「ありがとう。由音も似合うね、その色」
「弟と妹にも褒められたよ。いつもと違う、って」
「そのせいで今日デートなんじゃないか、って勘繰られてたよな」
あっしくんが笑いながら言う。
「そうなんだよね。でもあっくんが家に迎えに来たから『違うね』って。最終、ダブルデートも勘繰られてたけど」
「ダブルデートではないね」
「ないね」
4人ともフリー…いや、少なくとも3人はフリーだからな。俺は振られたばっかだしな。って自分で傷口抉るのやめよう。
「もう1回やる?」
「はいっ。今度は俺があっくんと組む!」
「じゃあその次俺があっしくんと組む!」
今度はあおとペア。
「ねー、あお上手くなるの早くない?」
「ふふん」
「勝ち誇ってるけど今は俺とチームなんですが?」
「そうだった。七織、ダブル狙って」
「ムチャをおっしゃる…」
「七織、多分肩に力入ってるから1回リラックスしてみ? で、投げ終わった腕は止めるんじゃなくて、そのまま狙った場所に伸ばす感じで」
「あっくん、敵に塩を送るのはやめて」
もっと送ってくれていいよ?
「フォームが悪い?」
「余計な力入ってそう。力入れなくても飛ぶから大丈夫」
「うん」
ふーっ、と1回大きく息を吐いて意識して体から力を抜く。紙飛行機飛ばす感じって言ってたよな…。
紙飛行機を飛ばすのをイメージして放ったダーツは、すとんと的に刺さった。
「えっ、あそこトリプル?」
「七織ミラクル」
「見て! あっしくん! すごい! やったぁ!」
思わずあっしくんとハイタッチしたけど、「チーム別だから」ってあおに突っ込まれた。おっしゃる通りです。
「出来ると楽しくなってくるねー」
「そうだな」
多分、俺が満面の笑みだったんだろう。あっしくんが俺の頬を摘んで可笑しそうに笑った。
もう何ゲームかダーツを楽しんだ後、勝負の舞台をマルチコートへ移す。
…すっかり勝負になってるぞ?
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