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第69話

なぁ、と呆れ返るあっしくんに同意を求められた俺は、頷いた。 「え〜、でもあの美女集団を前に断るのは難しくない? 何て言って断ってきたの?」 「え、普通に友達と来てるから、って」 「勝手に約束破るのは嫌だ、って言ったら引いてくれたぞ?」 「ふぅん」 あおはそう言ってストローを咥えた。 「2人とも律儀だね」 「えっ、普通じゃない? あ、これ七織のね」 「ありがとう」 可愛い女の子たちじゃなくて、可愛くないけどこっちを選んでくれてホッとした。俺、性格悪いな。こんなこと思うなんて。 まぁ、由音もあっしくんも、そういうことする人じゃないって思ってるけど。 女の子と比べるものじゃないっていうのも分かってるけど。でも1回、女の子に負けてる――この言い方は良くないけど――から、気になってしまう。 女の子たちが良かったら向こう行ってね、なんて、俺は言えない。だって、まだ一緒にいたい。 「休憩したら次何やる? 俺、アーチェリーやってみたい」 「じゃあその後フリスビーしよ」 「まだ9時過ぎだから時間たっぷりあるね」 お昼までは遊べるから…。 「お昼ごはんどうする? ここで食べてく?」 「その方がいいよね。ちょっと早めに切り上げて、早めに食べればそこまで混まなそう」 「じゃあ11時過ぎには切り上げるか」 「だね」 でもひとまず休憩。 疲れた体を冷たい飲み物で労っていると、向こうに一段と華やかなグループが見えた。遠目でもみんな美人だな…。もしかして、さっき言ってた青女の子たち? と、思っていたら、あおが「あ。」と声を上げた。 「さっきの青女」 やっぱり。 「みんな綺麗だな…」 心の中で呟いたつもりが、声に出ていて慌てて口を噤む。 「声かけてくる…?」 由音に聞かれて、俺は必死に首を振った。 「違う違う。噂通りだな、って思って。それだけ」 それにあんなに美人ばっかりに囲まれたら緊張して仕方ないと思う。 彼女たちは色んな男の子に声をかけられていた。けど誰も席を立たないから、全部お断りしてるんだろうな。 美人っていいな、って思うけど…。美人でも、好きになった人に好きになってもらえないなんてこと…あるのかなぁ。でもタレントさんでも振られたことあるって話してたな、そう言えば。 「青女は美人揃いって言うもんね」 由音はそう言いながら飲み物のカップをゆらゆら揺らした。中で細かい氷がカシャカシャと音を立てる。

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