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第70話

「けど俺だったらそういうのプレッシャーかもなー」 「凰陽(こうよう)の男子はレベル高いとか言われてないから大丈夫だよ。って言うか、佐川はカッコいい方じゃん。黙ってれば」 「『黙ってれば』って妹にも言われた…」 凰陽って、俺たちの学校の名前ね。 「黙ってなくてもカッコいいと思うけどな…。親しみやすい方がいいじゃん」 「ほんと? ありがとー、七織」 由音がニコニコ笑うから、つられて笑顔になる。 「幡中は黙っててもカッコいいタイプ」 「あっしくんは懐が深いからなぁ。同性が憧れるカッコいいだよね」 「それは初めて言われた。ありがとな」 あっしくんの照れた笑顔初めて見た! つられて俺も照れる。 「七織は癒し系」 「あおはツンな美少年だよね」 「分かるわー」 「分かる」 由音とあっしくんに共感もらえました。あおは、ツンって何?って言ってたけど。 しばらく休んでから、俺たちは活動を再開した。 アーチェリーを交代で楽しんで、フリスビーをペアになって遊んで、その後はバスケコートで3on3…は人数的に出来ないので2on2で。 俺、球技苦手なんですけどね。 「七織またヨボヨボじゃん」 「…球技、得意、違う」 「何でカタコトみたいになってんの?」 「そう言えば球技得意じゃないって聞いたような…」 「卓球とかならいいんだけど…大きい玉は苦手」 3人して「大きい玉」だけリピートするのやめて。変なこと言った?って心配になるから。 「そろそろごはん行く?」 「七織、立てるか?」 「うん」 あっしくんに手を引いてもらって何とか立ち上がる。明日絶対筋肉痛だと思う。 「おわっ」 ヨボヨボおじいちゃんな俺は立ち上がった勢いで足がもつれ、そのままあっしくんとその隣にいた由音に体当たりした。 「ごめん!」 「大丈夫か?」 「おんぶする?」 2人に難なく受け止められて事なきを得る。 「それは大丈夫」 さすがにおんぶされてる姿を不特定多数に見られるのは恥ずかしいかな! 今日結構混んでるしな! 「ごめんね、七織にムリさせちゃった? 楽しくて加減が…」 「違う違う。日頃の運動不足だし。俺も楽しかったよ?」 「そう? ならいいけど…」 「今度はのんびり出来る所に遊びに行こうな」 「うん!」 その『今度』が本当にあったら嬉しい。けど、今は社交辞令だとしても嬉しかった。 早めにお昼ごはんを食べて、フードコートが混む前にスポッチョを出る。

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