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チェリーとピーチ

日曜日。 俺はなんだか温かい気持ちで目が覚める。 今日は何にも予定がないから…のんびりゴロゴロしようかな。 朝ごはんを食べて、部屋の掃除をする。洗濯物を干したら、あとはもうすることがなくなってしまった。 昨日全然しなかったから予習でもしようかな。図書館行くのは面倒だから…家でいいや。 ノートと教科書を広げて予習したり、読みかけのマンガを読んだり。本当にのんびりゴロゴロしていたら、母さんに昼ごはんの買い出しを頼まれてしまった。 「ほんとに何でもいいの?」 「いいわよ。食べたいの買ってきなさい。今日はおじいちゃんたちも一緒に食べるから、柔らかめのも買ってきてね」 「サンドイッチとかでもいいかな…」 商店街のお弁当屋さんに行くか、パン屋さんに行くか…。はたまたスーパーか。 「パンかなぁ…」 色々買えば分けて食べられるし。俺は近くのパン屋さんへ行くことにした。今日は天気がいいから、散歩がてら歩いて行こう。 色んな家の庭が緑や花で溢れていて、それがすごく眩しい。俺は今まで自分があまり顔を上げて歩いていなかったことに気づいた。 気持ちが落ち込んで、きっとずっと下ばかり見ていたんだろうな。 世界はこんなに明るい。 なんていうのは大げさだけど、本当に視界が開けた気がする。 失くしたものはきっと、あの時の俺にとっては大きなものだったけど、今はもう、そうじゃない。 多分、もっと大事にできる――大事にしたい――ものや人が、あるはずだから。そう思えるようになったから。 それに、同じところで止まっていたくないし。 パンを買い込んでまた同じ道を歩いていると、向こうに佐田さんを見つけた。今日も圭典と会うのかな? と思っていたら、佐田さんも俺に気づいたみたいだった。 手を振ると、佐田さんも同じように手を振り返して来た。お昼時だけど…圭典の家でごはん食べたりするのかな。もう家に行く…家族にも会うような感じなんだなぁ。 圭典昨日俺たちに、展開早くない?とか言ってたけど、自分だって家族に彼女会わせるとか展開早くない? けどもう2ヶ月は付き合ってる…から、それって普通? 誰かと付き合ったことないから分かんないな。と思っていたら、スマホが鳴った。 母さんから何か追加かな?と思ってスマホを見ると、そこに表示されていた名前は… ① 由音 → 次ページへ ② あっしくん → 準備中につき、しばらくお待ちください…

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