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第85話
『好きな相手』に反応してしまう自分が憎い…。パッと顔が熱くなって、俺はそっと頬を押さえた。
「律儀だね」
『よりが妬くからな』
「まー七織と幡中、仲いいもんね」
あおはそう言いながらまたポテチを摘む。
「七織、聞くことあるんでしょ」
「うん。あの…」
あおに促されて、俺は口を開いた。照れてる場合じゃない。
「由音って、あっしくんから見てどんな人かな、って…。俺、あの、その、好きだって言ってもらえて嬉しかったんだけど、えっと、えっと」
上手く言葉が出てこない。
「俺、俺もちゃんと向き合いたくて…それで、由音のこと、もっと知りたい」
『今の七織の言葉聞いたら、それだけで喜びそうだけどな、よりは』
あっしくんはそう言って、「そうだなぁ…」と考えるように言葉を続けた。
『七織のよりのイメージって、どんな?』
由音のイメージ…?
「明るい。自分に正直で、でもちゃんと周りのことも考えてくれて、優しくて…楽しいことが好き?な感じかなぁ…」
『分かってんじゃん。七織のイメージそのまんまだよ』
「えっ」
『まぁたまにアホだけど、素直でいいやつだよ』
…たまにアホ。けど、素直ってあおも言ってたよな。
『よりは隠し事できないから色々素直に話してくれると思うし、不安なこととかちゃんと話ができるタイプだと思うな。ただ、察するのはあんまりだから、何かあれば七織も自分で伝えないとだけど』
「そっかぁ…」
でもな…。
「俺さぁ、言わないで失敗してるから…ちゃんと…話ができるようになりたいな」
『そういう気持ちがあれば大丈夫だと思うけど。確認なんだけど、嬉しかったってことは可能性は0じゃないんだよな?』
「…うん」
『さっきまで、よりここにいてさぁ』
「えっ」
『帰ったから七織に電話したんだけど、落ち着かなくてそわそわしてんの。明日もし態度変でも、嫌いになったとかじゃなくてただ単に意識し過ぎて落ち着かないだけだから、誤解しないでやってな』
「うん。…俺も同じことになりそうだけど」
俺のセリフに、あっしくんは軽く声を上げて笑った。
『けど七織が割と前向きで安心した』
「え」
『振られたって自分で言ってただろ? だから、もしかしたらそんな気持ちになれないって言われて、よりが振られる可能性もあるって2人で話してたから。でもそうじゃなくて、もっとよりのこと知りたいって言ってくれて、俺は嬉しい』
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