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第93話

それに。 「由音に会えたんだから、それでよくない?」 「…まぁ、七織がいいならいいですけど」 「何で敬語? だって急いでくれたんでしょ? なら別に怒る必要なくない?」 「…ん。ありがとう。そういうとこ好き」 電車乗ろう、と由音に手を引かれ、準急の車内へ。 さっきのタイミングで、『俺も好き』って言えばよかった。こんな人いっぱいいる所ではちょっと言えないし…。でもまだきっとタイミングはあるはずだから、頑張ろう。 ところで、これってデートなんだね? 目的地は、最寄り駅から歩いて15分。 建物の1階は博物館になってて、2階はテラリウムのブースと飲食店が数軒。そして3階がプラネタリウムのフロアになっている。周りにも色々お店があるし、商店街も近くにあるからなかなか便利な所だ。 庭も広く作ってあって、ベンチもあるし天気のいい日はのんびり過ごせそう。 「プラネタリウム午後のでもいいなら先に何か食べる? それか、見てからにする?」 「ん〜、どうしようかな…。先に席の空き状況見る?」 「あ、そうだね。そうしよ」 一旦3階へ上がって、券売機で空席をチェックする。午前はもういっぱいだったので、午後のチケットを取ることにした。 「2時からか。時間あるから、ごはん食べたら1階の博物館も見てみよっか」 「うん。ね、由音。天気いいし、外でごはん食べない? テイクアウト出来るし、外のベンチも使っていいって書いてある」 「ほんとだ。じゃあ…バーガー系にする?」 「うん」 この写真のエビカツバーガーが美味しそう。 2階に下りて、テイクアウト出来るお店を物色する。エビカツバーガーもいいけど、ホタテバーガーも美味しそう…。 「由音何にする?」 「悩んでんの? 俺ホタテバーガー」 「ん、じゃエビカツにしよ」 「後で一口あげる」 「ありがとう!」 ごはんをゲットした俺たちは、建物の外へ。小さな広場になっている所へ出ると、そこでは既に何人かの人たちが同じように早めのお昼を食べていた。適当なベンチに座って、出来立てホカホカのバーガーを取り出す。いい匂い。 「んん、美味しい」 「七織、めちゃくちゃ美味しそうに食べるよね。見ててほっこりする」 「見てないで食べて」 見られてるの恥ずかしい。 「ん、一口どうぞ」 「ありがと。由音もエビカツ食べる?」 「もらう。一口デカすぎたらごめん」 「由音なら許す」 「可愛いな」

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