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第94話
ホタテバーガーも美味しい。
「そう言えば七織さぁ」
「うん?」
「朝、電話で言ってたやつ」
「え?」
「顔見たら話すって。あれ、何?」
咀嚼が止まって、思わずそのままごくんと飲み下す。
「あの、あれはですね」
「うん」
ちょ、ちょっと待ってほしい。いや、確かに言ったし、今日は絶対由音に気持ちを伝えるぞ! って気合いも入れてきたけど。
ごはん食べてる時に聞かれるとは。
「ごはん食べてからでもいい?」
「いいけど気になって喉を通らないかも〜」
「めっちゃ食べてるじゃん」
「うん。美味しいね」
うん…。でも、そうだな。
俺いつも、由音に甘えてるし。今だって。
「由音はさ、いつも俺のこと考えてくれてる、でしょ?」
「うん」
躊躇いなく頷くから、何だか照れる。
「俺が話すのあんまり上手じゃなくても、待っててくれるし、分かろうとしてくれて、すごく嬉しい」
「はい」
「可愛いって言ってくれるのも、由音だから、嬉しい」
「ん"っ、はい」
「あとあの…ハグも、好き」
「俺も好き」
そういうとこ。
「俺のこと、『好き』って言ってくれるの、すごく嬉しい。いつも貰ってばっかりで、ちゃんと返せてなくて…由音のこと、前よりも知ったらね、その…んと…」
頑張れ! って言ってくれたあおとあっしくんの笑顔を思い出す。
頑張れ、俺。
「俺、も。由音のこと、好き」
言えた!
「だから、ちゃんと付き合い、たい。です」
声は小さくなっちゃったけど、聞こえてる、はず。どう、かな…?
恐る恐る由音の様子を伺うと、ハンバーガー片手に目元を押さえている人がそこにいた。
え。
「由音…?」
「……ごめん、ちょっと待って。今幸せを噛み締めてるとこだし、自分のタイミングの悪さを呪ってるとこ」
「え?」
「今ハンバーガー持ってなかったらめちゃくちゃ抱き締めたい…!」
ハンバーガー握り締められてるよ。
「由音がさ、早く会いたくなった? って聞いたでしょ? あれほんとはね、うんって言いたかった。でも気持ち伝えてないのにそれはずるいよな、って思って」
「ちょっと待って、心臓やばいからぁ…!」
俺のこと、好きになってくれてありがとう。って伝えたいけど、あとの方がいいかな?
「え、いつから? いつから好きになってくれたの?」
「えーと…意識、してた時点でもう、ちょっと好きだったかも…。段々、由音のこと知ってくようになって、もっと好きになったって言うか…確信したと言いますか…」
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