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第1話-5

「絶対にききょうは白耀のお嫁さまになるのだ!」  終にはどんぐりのようにくりっと丸い瞳から涙が零れ落ちる。将来はさぞかし美しい青年になるだろう白耀がくしゃりと眉を寄せて泣くのに桔梗はめっぽう弱い。 「大人になってもお気持ちが変わらなければ、桔梗は白耀さまの望むようにいたします」  気休めの方便でしかないが、幼い白耀もいずれ分かる日が来る。大人になる頃には可愛い娘に夢中になるだろう。そう思い桔梗は約束の小指を差し出す。 「きっとだぞ! 約束だからな!」 「はい」  桔梗の指はしっかりと白耀の小指に絡め捕られた。  茜さす秋のことだった。

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