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第2話-1

「桔梗、結婚するぞ」  約束を交わした日から四年。白耀はあの時の桔梗の歳になっていた。  ここ一年でぐんと背が伸びてずいぶんと体つきが男らしくなった。今ではもう桔梗と同じくらいの背丈になった。 「大人になったらと申し上げましたよ」  桔梗は森で取れた柿の実を剝いていた。これを干して冬の間のおやつにする。板の間に腰を下ろした白耀は足をぶらぶらと揺らしながら口を尖らせた。  この問答は月の満ち欠けが一回りするのと同じくらいの頻度で行われている。年を重ねれば気が変わるだろうという桔梗の目論見は外れてしまっていた。

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