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第6話-1
御稲荷さまの使いだという童に手伝ってもらい、社で結婚式を行うための支度を整えた。白耀の用意してくれた雪のように真っ白な絹の着物には、銀糸で桔梗の花が刺繍されている。
髪には真冬だというのに美しい花が飾られた。花弁の多い華やかな白い花は桔梗の真っ黒な髪を一層美しく引き立てる。
「綺麗ですね。お嫁さま……」
「本当、本当。白耀さまのお嫁さまは美しい」
桔梗が男だということを知っているはずなのに、そっくりな顔をした童たちは美しいと称えてくれる。
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