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第6話-2

 ひふみに見送られながら、桔梗は社の奥へと歩を進めた。そこは確かに社の中であったはずなのに、気付けば桔梗は常春の庭を眺める廊下を歩いていた。 「桔梗さま、こちらに」  手を引かれた入った部屋には御稲荷さまと白耀が待っていた。白耀は桔梗と同じく白い着物姿で、銀色の毛並みと相まって眩しいほどに美しい。 「桔梗……待ちかねた。想像をはるかに凌駕するほどに美しいな」  差し伸べられた手に手を重ねると、御稲荷さまの前にふたりで並ぶ。花のいい香りが風に乗ってやってきて、夢のようだと桔梗は思う。

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