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第7話
「う~ん、ちょっと待って。ここで一回、振り返ってみよう」
つうを嫁に迎えた与ひょうが、彼女を慈しむシーンで、未緒はストップをかけた。
「この時の与ひょう、どんな気持ちだと思う?」
「それは、つうを心から愛して……」
「愛してるように、見えないんだよね」
「そ、そうですか」
貧しい自分の元へ現れ、美しい反物を織り、嫁にして欲しいと願う、つう。
愛おしい存在には、違いないが。
「確かに俺、つうのことまだ愛してないかも」
うなだれる悠真に、未緒は腕を伸ばした。
「確かにつうは架空の人物であって、感情移入が難しいかもしれないけど」
そしたら、僕を。
「僕を、愛することはできる? 吉行くん。いや、悠真くん」
「え!?」
着物の袖をもじもじといじる未緒は、今まで見たことのない表情をしていた。
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