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第8話
まさか。
まさか未緒先輩は、俺のことが好きなのか!?
「いや、あの。未緒先輩、はやまってはいけません!」
「悠真くん、僕のこと嫌いかな?」
「嫌いだなんて。むしろ、大好きです! いえ、あぁ、はわわぁ……」
だったら、と未緒はすいと悠真に身を寄せた。
「恋人を前提として、付き合おうか。僕たち」
「恋人を前提として? 結婚を前提として、ではなくて、ですか?」
「文化祭の舞台が大成功したら、恋人として付き合おうよ」
舞い上がっていた悠真は、少し怯んだ。
うまく行かない、与ひょう役。
大成功、だなんて、自信が無かった。
「くよくよしてるね、悠真くん」
「え、いえ」
「魔法を、かけてあげる」
未緒の顔がゆっくりと近づき、悠真の唇にキスが贈られた。
「ん……」
悠真の心臓は、弾けそうに鳴っていた。
綺麗な未緒先輩。優しい未緒先輩。憧れの未緒先輩。
そんな先輩が、俺なんかと付き合おう、だなんて!
だが、キスは信じられないくらい心地よかった。
いつしか悠真も未緒を抱き寄せ、キスをしていた。
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