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第14話
「もう。心ここにあらず、って顔してる」
「ごめんなさいっ!」
「でも、悠真くんのそんなところが好きだし、主役に推した理由でもあるけどね」
「え? どんなところですか?」
それは悠真自身も、思っていたところだ。
俺が、与ひょう役に選ばれた理由は?
財津より優れている点が、俺なんかにあるんだろうか?
「悠真くん、練習熱心で。すごくひたむきなんだよね」
「ひたむき、ですか」
うん、と未緒は悠真の腕を枕にした。
「財津くんは、良くも悪くも上手すぎるでしょう。計算されつくした演技」
「そういう見方もあるのか」
「でも悠真くんは、どんな役にも一所懸命。自分の全てをぶつけるから、伸びしろがいくらでもある感じ」
「何か、嬉しいな」
僕も嬉しい、と未緒は頬を染めた。
(やっと、敬語やめてくれた)
多分、自分でも気づいていないんだろうけど。
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