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第15話

「でも、つうが死ぬシーンが嫌い、ってどういうことかな?」 「あぁ、それは」  いくら何でも、愛する人が目の前で死んでいくなんて耐えられない。  そう、悠真はこぼした。 「しかも、死をもたらしたのは自分の強欲のせいでしょう? あんまりですよ」  そうかぁ、と未緒は頷いた。 (また、敬語に戻ってる……)  未緒は、そんな悠真に少し意地悪を言った。 「じゃあ例のシーンは、僕が死んじゃったらどう泣くかな、って考えて演じてよ」 「嫌ですよ、縁起でもない」 「僕、見てみたいな。悠真くんの悲しむ姿。僕が死んだら、どんな風に泣くのかな?」 「未緒先輩、趣味悪いっすね!」 「悠真くんを好きになったくらいだからね。趣味が悪いのは、自覚してるよ」 「あぁ! ひどい!」  嘘だよ、と笑う未緒を、悠真は抱きしめた。  そんなひどいことを言う口を、唇でふさいで黙らせた。 「ぅん。悠真、く、ん……っ」  可愛い声で呼んでくる未緒が死ぬなんて、考えたくもない。  その一心だった。

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