15 / 22
第15話
「でも、つうが死ぬシーンが嫌い、ってどういうことかな?」
「あぁ、それは」
いくら何でも、愛する人が目の前で死んでいくなんて耐えられない。
そう、悠真はこぼした。
「しかも、死をもたらしたのは自分の強欲のせいでしょう? あんまりですよ」
そうかぁ、と未緒は頷いた。
(また、敬語に戻ってる……)
未緒は、そんな悠真に少し意地悪を言った。
「じゃあ例のシーンは、僕が死んじゃったらどう泣くかな、って考えて演じてよ」
「嫌ですよ、縁起でもない」
「僕、見てみたいな。悠真くんの悲しむ姿。僕が死んだら、どんな風に泣くのかな?」
「未緒先輩、趣味悪いっすね!」
「悠真くんを好きになったくらいだからね。趣味が悪いのは、自覚してるよ」
「あぁ! ひどい!」
嘘だよ、と笑う未緒を、悠真は抱きしめた。
そんなひどいことを言う口を、唇でふさいで黙らせた。
「ぅん。悠真、く、ん……っ」
可愛い声で呼んでくる未緒が死ぬなんて、考えたくもない。
その一心だった。
ともだちにシェアしよう!