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第17話

 自らの羽根を抜きはたを織り続けたために、力尽きてしまうつう。  最後の織物を与ひょうに渡すが、その手は彼の腕をすり抜けてしまう。 「つう!?」 「お別れです、与ひょう。あなたと、もっと一緒にいたかった……」  愛しています、との言葉を最後に、つうは動かなくなってしまった。  客席は、ざわめいている。 「え? つう、死ぬの?」 「鶴になって飛んでいくんじゃなくって?」  そこに被さるように、悠真の渾身の演技が始まった。 「つう……。つう。つう、つう、つう、つうーッ!」   『じゃあ例のシーンは、僕が死んじゃったらどう泣こう、って考えて演じてよ』  悠真は、以前未緒が言った通りのことを実践していた。  もし、未緒先輩が俺を残して死んでしまったら。  そんな事など、考えたくもない。  考えたくもないが、つうは与ひょうを残して死んでしまった。  残された与ひょうは、どう泣くか。  深い考えなど無く、ただ激情に任せてつうの名を呼んだ。  慟哭し、号泣した。  幕が下り、講堂は割れんばかりの拍手と歓声に包まれていた。

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