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第7話
「担任の佐倉透だ。担当科目は現国。36歳αでΩの旦那と、娘が1人います。昨年生まれたばかりだからとても可愛いです。よろしく!」
「じゃぁ次は皆の自己紹介ね~」
(え?サラッと言ったけど、旦那さん?!夫夫なんだ!)
自分の自己紹介が憂鬱なのに先生のあっけらかんと夫夫ですと説明され少しだけ思考停止していた。男性同士で結婚は珍しくはないが身近に夫夫がいなかったためどんな感じなのだろうと考えていた。
「・・はせくん、白波瀬くん?!おーい」
「・・っは、ひゃい!」
噛んだ。。自分の番になってるのとはつゆ知らずボーッとしていたようだ。
「自己紹介。白波瀬くんの番だよ。」
「はい。。白波瀬悠那です。えっと先祖人です。趣味は特にない。。です。よろしくお願いいたします。」
「これから趣味が見つかるといいね。次~白戸くん」
(はぁ。。悪目立ちしたよなぁ。ボーッとしてた上に無趣味。。大丈夫かなぁ。。)
変にドキドキしながら椅子に座り残りの自己紹介を聞く。お笑い芸人のようにボケを入れて自分を表現している人は自然と笑い起き、流行りに乗った人はゲーム、アプリなどの名前を出してクラスメイトのハートを掴んでいた。友達作りにここの高校に来た訳じゃないけどやっぱり1人や2人くらい友達がほしい。けれど、あの自己紹介じゃ前途多難だ。何か他の所でどうにかしなければ!
今日の授業が全部終わり、HRが始まった。
「部活を見て回る人は今から配る用紙に部活動内容と主な活動場所、顧問の先生が書いてある。これを参考に見学してほしい。じゃまた明日!気をつけて帰れよ~」
じゃあね~。また明日。などの声がちらほら聞こえる。悠那は朝に出会った、黄地と麒麟が来るのを待ってみる。
(どうしよう。C組って言ってた。。行ってみた方がいいな。待つなんて偉そうだよな。)
鞄の中に財布、スマホ、イヤフォン、ハンカチ、オメガの抑制剤。忘れ物がないか確認して席を立った。怖いけどC組の前で待ってよう。
席を立ち教室の扉へ向かうとちょうどC組の扉が開き人がぞろぞろと出てきた。
パタパタ…むぎゅ
「えい!」
え?むぎゅ?
「わぁー!お迎えありがとう!!待たせちゃった??」
「………(なんだ。何が起こってる?どうしよ。何て反応したら正解なんだろ。)」
「え?悠那ちゃん?おーい?」
「黄地。白波瀬がフリーズしてる。急なスキンシップ慣れてないんだろ。」
「ご、ごめん!悠那ちゃん!僕いつもこんな感じなんだ!お、怒ってない?柚季ちゃんどうしよ?!」
「おーい?白波瀬。大丈夫か?」
「…っは!大丈夫!ごめん!びっくりしたと言うか。そのどうしたらいいか分からなくて。」
「え?何それ!可愛い!!えへへ。もっと仲良くなれそう!部活行こう!悠那ちゃん」
ガシッ!
両手を黄地に掴まれて左右にブラブラされている。どうしよ。少し嬉しい。
「うん。行こうか。」
「白波瀬。黄地はこうゆうノリなんだ。少しずつ慣れろ。黄地、手を揺らすな周りに当たる」
「はーい。悠那ちゃんこっちだよ。旧校舎全部が先祖人育成会の敷地なんだ。」
「旧校舎全部?!」
「先祖人の種族それぞれの個性訓練所みたいにいえば分かりやすいか?種族の力を強くしつつ暴走しないように制御する。なにか起きた時に力を発揮したり、就職先で率先力になれたりするぞ。」
「力の暴走?」
「流石柚季ちゃん!お兄ちゃんも育成会出身だから詳しいね!新人は職員室に行くんだよね」
「まぁ色々と聞かされてたからなぁ。旧校舎の職員室は1階だ。新校舎1階の渡り廊下から渡り扉開ければ左手にすぐだ。」
僕と黄地君は何故か手を繋いだまま廊下を進んでいた。C組、D組の教室過ぎたら扉が見えてきた。丁寧に「旧校舎はこちらから」と札が掛けられている。
壁と一緒の白色、鉄製のごく普通の扉で札が掛けられてなければスルーしてしまいそうだ。
ドアノブを回し扉を開けたら石の階段が3段あり、降りると石造りの廊下へ。
旧校舎とはいえ木製だけど思ったより古い感じはあまりしない。
外はまだ冷たく少し風が吹いてる。
ふと外側から誰かに見られてるような。。
視線を感じる…グラウンドの方だろうか恐る恐る見てみるが家に帰る生徒がいるだけで誰もこちらを見ていなかった。
(気のせいかな。。。自意識過剰かよ。)
僕はこの時は知らなかったがこれから人間の恐ろしさを目の当たりする。
妬み、嫉妬、プレッシャー。選ばれた者と選ばれなかった者。色んな感情に揉まれ初めての事だらけだった。けれど今目の前にいる友達が僕の心の支えになるとは露も知らず、引っ張られるまま旧校舎に入るのだった。
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