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ActⅠ Scene 6 : 見慣れない客。③

 実力主義(メリットクラシィ)のクリフォードにとって、ティムの肌の色なんてどうだって良かった。要はクリフォードの考え方や生き方を理解してくれた上で意見をはっきり述べてくれる遣り手でさえあれば――。  そしてティムはクリフォードの良き理解者でもあった。彼は生い立ちや世間の噂。さらにはクリフォードが何者であってもかまわず右腕となって支えてくれる、力強く頼り甲斐のある青年だった。  そんな彼だからこそ雇ったのではあるが、何分勘が鋭い。  自分が正しいと思えばたとえ相手が雇い主であろうと意思を貫く頑固な一面ももっている。おかげでクリフォードを見透かすような発言は常だ。彼がいてくれて助かる反面、居心地が悪くなる時も多々あった。  そしてそれは紛れもなく今だ。 「ずっと様子を見てたんだけどね、彼、誰かを探しているみたいなんだ。いったい誰を探しているんだと思う?」  翡翠の目は玄関ホールに姿を現した当初からずっとこちらの様子を窺っている。視線は常にクリフォードにあった。それなのにティムは何やら含んだ言い方をして流し目でクリフォードを見据えている。 「もしかして君の新しいファンか?」  そんなわけはない。  クリフォードは小さく首を横に振ると口を開いた。 「彼は探偵だ」 「へぇ……あの顔で、あの躰つきで?」  よほど驚いたのか、ティムの声が上ずっている。  驚くのはの方か。  相変わらず色事ばかりに現を抜かしている彼らしいと、クリフォードは肩を竦めた。  そこでクリフォードはバーカウンターにいる美しい青年を見た。

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