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ActⅠ Scene 5 : 潜入! 賭博クラブ。②

 クリフォード・ウォルターの変わり様は少々どころではない気がする。  カルヴィンがあらためてそう思ったのは、夜もすっかり更けた頃。彼が経営するクラブに侵入してからのことだった。  貴族が出入りするクラブの殆どは会員制だ。その理由は、ならず者に好き勝手な振る舞いをさせないための対策である。しかしクリフォードが経営する賭博クラブは特殊だった。  彼は会員制を取っ払い、金さえ支払えば誰でも自由に参加できるようにしていたのだ。それゆえにクラブは栄え、今も尚、拡大化していた。  果たして賭博クラブの常識さえも覆すクリフォード・ウォルターという男は柔軟な思考を持った人間なのか、それともただ傲慢なだけなのか。  いずれにせよ、今のカルヴィンにとって断言できるのは、非会員制のおかげで身分証提示しなくとも容易に潜入できるということだ。  クラブは深夜遅くから開店し、夜が明ける頃に閉店する。  昼夜逆転する生活になるだろうことを覚悟した上で、彼が経営する賭博クラブ、"The crazy"に赴いた。  ――彼が経営する"The crazy(狂った)"の名に反した雰囲気だった。  さすが伯爵の経営者で、しかも大富豪として有名なだけはある。  店内に入れば、凍てつくような寒さとは打って変わって大きな暖炉がカルヴィンを出迎えてくれた。あたたかな空気と人々の熱気がその場を包み込む。頭上には巨大なシャンデリアが飾られ、照明によって光が分散し、より豪華な空間を演出している。  まるで鏡のように美しく磨き上げられた大理石の床は笑い合う人々の姿を写し出す。  恐ろしく広い店内にはところ狭しとカジノやダーツ。それにビリヤードの台が並ぶ。

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