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ActⅠ Scene 7 : 完璧な口づけ。③
同時に男の手は掴んでいたカルヴィンの手首から離れた。
突如として現れた手は男の手首を掴んだまま、慣れた手つきで背中に回した。
彼の口からは痛みを訴える悲鳴が入り交じった怒鳴り声が放たれる。
顔を上げれば、重厚感のあるスーツを見事に着こなした引き締まった肉体に、目鼻立ちがはっきりとしている整った顔立ちのハンサムな男がいた。
――クリフォード・ウォルターだ。
よりにもよって、彼が助けに入ってくれるなんて思いもしなかったカルヴィンは驚きを隠せない。
そんなカルヴィンの目の前では、あんなに自分が腕を振り解こうと必死に足掻いていたのに、クリフォードは意図も容易く男の腕を折りたたんだ。
クリフォードは見た目以上に腕の力も強かった。彼よりも一回り横に広がった巨体をしている男の首根っこを軽々と持ち上げると、無言のまま外へ放り出した。
「今後一切、The crazy に出入り禁止を命じる」
口から飛び出した声は恐ろしく低い。まるで地響きにも似たものだった。
クリフォードは地面に這い蹲っている男にそう吐き捨てるなり、彼のすぐ後ろで待機していた支配人に向かっていくらか指示を飛ばした。
それでも自分は高貴な身分だと人に知らしめたい男は、走り去りながらも何やら遠巻きで罵声を喚き散らしている。
厄の元が去り、やがて店内が静かになると、クリフォードは床にへたばっているカルヴィンの前までやって来た。
それから乱暴に腕を引っ掴むなり屋外へと突き飛ばした。
あたたかな暖炉のある室内から何の心構えもなく追い出された屋外はとてつもなく寒い。
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