47 / 275

ActⅠ Scene 7 : 完璧な口づけ。⑦

 しかしカルヴィンにとって、口づけはもちろん、舌を交える行為も初めてで、これの対処法を知らない。 「ふ……」  彼の舌を受け入れるカルヴィンの開きっぱなしになった口からは、まるで女性が喘いでいるかのような声を出してしまう。  今まであんなに同性に組み敷かれることを拒み続け、嫌忌(けんい)していたことが嘘のようだ。  クリフォードからの口づけをあっさりと受け入れている自分に驚いた。 「あっ、ふ……」  熱に犯された華奢な腰が揺れている。  カルヴィンは今や、この躰の奥で大きくなりつつある炎をどうにかしてくれさえいれば相手が何者かなんてどうでもよかった。  揺らめく視界と意識は空間の中を彷徨い続ける。  カルヴィンはうっとりと目を閉ざし、彼の襟元を掴む。すると彼の腕がカルヴィンの腰に回った。いっそう強く引き寄せられる。  引き締まった強靱な肉体が躰に押しつけられ、カルヴィンはいっそう声を漏らした。  クリフォードの男らしいくぐもった声が重ねた唇から弾き出される。  その声を聞いただけで、カルヴィンのみぞおちに渦巻く熱が大きくなっていくのがわかる。  自分ではどうにもできない疼く下肢をなんとかしたい。  腰は快楽の解放を求めて揺れ続ける。おかげでカルヴィンとクリフォードの欲望が密着し、触れ合った。彼の昂ぶりがスラックス越しから感じられる。  彼の躰もまた、カルヴィンと同じ状態になっていたのだ。  快楽を感じているのは自分だけではない。

ともだちにシェアしよう!