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ActⅠ Scene 8 : Ballan Do Godfree ③

 胸には引き裂かれそうなほどの痛みを感じた。  まだ真新しい、思い出したくもない過去の記憶がクリフォードの胸を痛めつける。  とにかく、彼にしても自分にしても、この場にいるのはけっして賢明とは言えない。  クリフォードは逃げるようにして恐れおののく彼に背を向けた。  室内に入り、視界に入るすべてを遮断するため、勢いよく扉を閉めた。  中に入れば、眩いばかりの光が飛び込んでくる。  クリフォードは突き刺すような照明に思わず毒づいた。  薄暗い屋外とは打って変わって、シャンデリアに飾られた小さな断片たちが照らされた照明をさらに盛り上げ、眩いばかりの輝きを放って店内を華やかに魅せる。  耳に入ってくるのは人々の笑い声や話し声だ。先ほどの騒動なんてなかったかのように明るい雰囲気に戻っている。  どうやら有能な支配人があの場を丸く治めてくれたらしい。過去は過ちばかりを犯していたが、彼を雇用したことだけは正解だったとクリフォードは思った。  ――ああ、けれども今に限っては煩わしいかぎりだ。  普段ならばクリフォード自らが建築のデザインを手がけたこの景色にうっとりするところではあるが、今は眩いばかりのこの光も人々の賑わいも、むせ返るような人の熱気もすべてが(いと)わしい。  とにかく、今は一人になりたい。  クリフォードは店内に戻るとそのまま足早に店の関係者しか入ることができない奥の通路へと向かった。  途中でティムが何か話しかけてきているが、取り敢えずは無視だ。今は冷静に話ができる気分ではない。

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