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ActⅠ Scene 9 : ダンスパーティーの誘い。①
ドアが閉まる音が耳の奥で聞こえる。
「……ふ」
彼に触れられた躰が熱を持っている。
腰は支える力を失い、ずるずるとその場に崩れ落ちた。
躰の芯はどうしようもないほどの狂おしい熱が未だ冷めることはなく渦巻いている。
全身が震えている。
恐怖か快楽か……。
この震えはいったい何によるものなのだろう。
未だ疼く太腿へと手を伸ばせば、いっそうの大きな震えが走る。
見下ろせば、スラックスを押し上げている欲望は解放しろと主張して、じっとりと濡れている。
「こんな……」
カルヴィンは自分の浅ましい状態に驚きを隠せない。
これまで、シャーリーンがこの世を去ってからというもの彼女のことばかりを考え、生きてきた。当然恋愛もこういった経験もなかったわけだが、他人からの好奇な目を向けられたことはたくさんある。
しかし、カルヴィンにとってそれは不快でしかなく、相手が例え異性でもこんな生理現象が起きたことはない。
それなのに……。
彼と目が合ったというだけで躰が熱を宿し、口づけでこのありさまだ。
その先に進めばいったいどんな快楽が待ち受けているのだろう。眠っていた好奇心が身をもたげる。
しかし彼は殺人鬼かもしれない。このまま進めば危険が待ち受けている。
頭は危険だと言っているのに、躰は抗えない。
クリフォードの容姿を頭の中で思い描けば思わずため息がこぼれてしまう。
どこまでも澄み渡ったサファイアのような青い目と力強い肉体。彼には誰彼かまわず魅了する力がある。
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