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ActⅡ Scene 1 : 出遭い。⑦

 カルヴィンは得体の知れない恐怖を感じつつも、クリフォードから身を隠すためだと言い聞かせ、ゴドフリー公爵の手を取った。 「君とは初めて会った気がしない。どこかでお会いしただろうか」  彼の腕がカルヴィンの腰に回る。彼との距離がさらに近づいた。  低い声がカルヴィンのみぞおちに響く。  その声を聞くと、さらに躰が冷たく凍りついていく……。  足の爪先から頭のてっぺんまで、冷たいものが通り抜け、まるで全身が凍りづけにされるようだ。  カルヴィンの耳に明るい三拍子の曲は耳に入ってこない。先ほどまで美しい光景だと思っていたのが嘘のように、今は何もない虚無の世界に放り込まれたかのように感じた。 「もしかすると、ダンスパーティーで出会ったのかもしれませんわ」  カルヴィンは、なるべく平静を装い、声が震えないよう努めながらそう答えた。  なるほど、とゴドフリー公爵は頷いた。 「甘い、いい香りだ。君の美しさには会場の煌びやかな雰囲気も色褪せてしまう」  彼の腕がいっそう強くカルヴィンの腰を抱き寄せる。  思わず悲鳴が上がりそうになる口をどうにか閉ざし、込み上げてくる得体の知れない恐怖に堪える。 「――なんと、かぐわしい香りだろうか……」  ゴドフリー公爵の鼻梁が剥き出しになっているカルヴィンの首筋をなぞるようにして上下に行き来を繰り返す。さらに彼は唇を近づけ、うっとりとした面持ちでカルヴィンの顎の下を捕らえた。生あたたかな吐息が触れる。

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