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ActⅡ Scene 2 : beautiful ②

 なぜ? わからない。しかし身の危険さえも感じたのは事実だった。  ゴドフリー公爵はもういないのに、カルヴィンの膝は未だに笑っている。  震え続ける足はもう立っていることさえできない。  カルヴィンは庭の片隅にあるベンチにどっかと腰を下ろし、項垂れた。  座り方さえも工夫しないといけないなんて、本当に世の中の女性は大変だ。  自分には無理がある。  カルヴィンはあまりの座りにくさに毒づいた。  ティアボルト伯爵の庭はとても幻想的だと貴族の中でとても有名だ。自然に見立てた造りは圧倒的で、泉があり、木々が植えられている。蔦の植物はアーチを作り上げている。今は季節的に難しいがおそらく春には薔薇が緑の中に花開くだろう。  けれども今はティアボルト伯庭を眺める余裕さえない。  吐き出す息が震えている。カルヴィンは浅くなる呼吸をどうにか落ち着けるため、項垂れ頭を抱え込む。  静かな空間の中にほんの少し、会場から流れる軽やかなワルツが聞こえてくる。 「よかった。こんなところにいたのか」  カルヴィンがベンチで蹲っていると、マートが駆け寄って来た。  カルヴィンはマートが苦手だ。けれども今は彼がいてくれてよかったと思う。とにかく、今日の自分は何かがおかしい。  額に触れれば、脂汗はまだ引かず、じっとりとこびり付いたままだ。 「マート、ぼくはもう帰るよ」  できるだけ平常心で答えようとしたものの、声は掠れている。動揺している証拠だ。  同業者で自分よりもずっと優れた能力をもつマートには弱い自分を見せたくなかった。

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