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ActⅡ Scene 2 : beautiful ⑥
カルヴィンはやって来たハンサムな紳士に見惚れてしまう。
「何しに来た。覗き見とは趣味が悪いと思わないのか? クリフォード・ウォルター」
マートの手がカルヴィンから離れた。
彼はご機嫌斜めな様子だ。先ほどまで優越感に浸っていた彼は打って変わって声を張り上げ、クリフォードに向かって怒鳴った。
「こんな場所で淑女を誘うのは紳士として恥だと思わないのか? 君の情報を売ればさぞやゴシップ誌は喜んで記事にしてくれるだろうな」
カルヴィンは美しい彼の容姿についつい目で追ってしまう。
ああ、外灯さえも彼の容姿を賛美しているかのようだ。シルエットを包み込む光が仄かに光っているようにも見える。
人々を惑わす美しい堕天使。
目の前にやって来たクリフォードに釘付けになっているカルヴィンは、怒り狂うマートのことさえも忘れてしまっていた。だからマートがいつこの場から去ったのかさえもわからなかった。
気が付けば、庭にはクリフォードとふたりきりだ。
「君の家まで送ろう」
彼の薄い唇が動いている。優しいしっとりとした声音がみぞおちに響く。
マートに触れられた下肢がずくんと疼いた。
ああ、この薄い唇に吸い付きたくてたまらない。
マートからの口づけをあんなに拒んでいたことが嘘のようだ。カルヴィンの目は彼の魅力的な唇を一点に見つめ続ける。
「名前と住まいを教えてくれ」
薄い唇が静かに動いた。
彼の発音はとても滑らかだ。耳障りがとても良い。
それにこの唇がカルヴィンの口を塞いだ時の、しっとりとしたあの感触も好きだ。
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