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ActⅡ Scene 5 : reunion ①

 頭がひどく痛む。  割れそうだ。  翌朝、カルヴィンは窓硝子を叩く音ではなく、頭痛で目を覚ました。  朝の日差しが眩しい。  カーテンの隙間を縫って照らされる明るい日差しが目に入る。  ――ああ、日が昇っている。  起きなければ、とそう思うのに、少しも言うことを聞いてくれない躰は鉛のように重い。  また、家族がいない今日という孤独な一日がはじまる。  頭が起きる時間だと急かすのに、躰はベッドに張り付いたまま離れられない。  こうなった理由は知っている。  昨夜、マットから受け取ったアルコールがそもそもの発端だ。  アルコールが弱いこともマートが油断ならないこともわかっていたことなのに、それでも軽率な行動を取った自分が腹立たしい。  昨夜のことを思い出し、苛立ち紛れに寝返りをうてば、そこでいくつもの疑問が生まれた。  そういえば、昨夜はどうやって帰宅を果たしたのだろうか、と――。  当然、カルヴィンには馬車を借りるという余計な金子を持ち合わせておらず、マートと同席した。だからマート同伴でしか馬車は使えない。  しかし、自分はマートに迫られ、彼を拒んだ。マートに送ってもらえたとは考えにくい。  なにせ彼は自己中心的で傲慢な男だ。カルヴィンが彼の誘いを拒んでも快く家まで送ってくれるような紳士ではない。  ならば徒歩で帰宅したのだろうか。  アルコールに酔っている足で――。  けれどもひとり徒歩で帰ろうにも、ここからティアボルト伯爵の屋敷までの距離は四時間以上もかかってしまう。

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