13 / 275

ActⅠ Scene 2 : 隣人はエリート探偵。⑥

 カルヴィンが目にしたそれは貴族たちの間で最も人気があるゴシップ誌、”CLOWN TIMES(道化師の時間)”だ。そこにはこう書かれていた。  "九年前に起きた悲劇の犠牲者。二人目か。白骨化遺体が見つかる"と――。  見出しに続いてページを捲れば、犠牲者は真新しい綺麗なドレスを身に纏っていた、とある。おそらくは社交パーティーに参加した後、失踪し白骨化したのではないかと書かれている。身元は現在不明らしく、捜査中とのことだ。  社交パーティーに参加したままのドレス姿で発見される白骨化の遺体。  これはシャーリーンの時とまったく同じだ。  遺体の発見現場はカランド通り2ー50。ゴミ置き場と記されている。  カルヴィンがいるこの近くだ。自分の目と鼻の先で起きた事件だと思うと怒りが込み上げてくる。  カルヴィンは手にしたティーカップを叩き付けるようにしてテーブルに置くと、きつく拳を握り締めた。  今度こそ、犯人を捕まえてやる!  ()くして、探偵カルヴィンは立ち上がるのだった。  《Scene 2 : 隣人はエリート探偵。/完》

ともだちにシェアしよう!