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ActⅠ Scene 3 : 持ち前の運動神経を試されるとき。⑥
間違いなく彼はこの一件と関わりがある。
やっと……。
シャーリーンを死に追いやった犯人と不可解な事件の真相がわかるかもしれない。
九年もの間、ずっと探していた手がかり。事件解決になるかもしれない人物をここで逃してはならない。
この日をどんなに待ち望んだことか。
「探偵だ! 話を聞かせてもらおうか!」
木々の根が覆い尽くす大地を歩くにはあまりにも不似合いな格好をした男性に向かってカルヴィンは声を荒げた。けれども彼は顔色ひとつ変えない。それどころか呼び止める声も聞かず、背を向けて去って行く始末だ。
「止まれ!」
カルヴィンは彼を追うために足を動かそうとするが、膝が小刻みに震え、思うように動けない。立っているのがやっとの状況だった。
それを知っているのか、男性は動じる様子もなく、闇の中へ颯爽と姿を消した。
後に残るのはカルヴィンの荒々しい呼吸と、さわさわと木々の枝が揺れる音。そして足下に転がる真新しい桃色のドレスを身に着けた無惨な亡骸だけだった。
《Scene 3 : 持ち前の運動神経が試されるとき。/完》
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